- 年上の相手にtuで話していいのか分からない…
- 先生はtuを使ってくるが自分もtuを使っていいの?
- 年配の同僚にはどっちを使うべき?
- 友達の両親にtuで話していいの?
フランス語の二人称には「tu」と「vous」があり、どちらを使うべきか迷いますよね。
そこでこの記事では、tuとvousの違い、9つの場面から見る使い分け、困った時の対処法をご紹介しています。
状況に合わせて「tu」と「vous」のどちらを使うべきか分かりますので、ぜひ参考にしてください。
フランス語でTuとVousを使い分けられるのは「教養の証」
フランス語の二人称(英語のYou)には、
- 「君」という意味のTu(チュ)
- 「あなた」という意味のVous(ヴ)
この二つの形があります。
フランス語では、主語が変わると動詞の活用形も変化します。
「Tu」の動詞は、一人称単数形の「私」を表す「Je」と同じ形が多いので覚えやすいです。
しかしVousの動詞の活用形は、より複雑で使う頻度も低いため、難易度が上がります。
そのため、適切な相手に対してVousを使い分けられるということは、
日本語の尊敬語・謙譲語・丁寧語のように、相手と場面に合わせて使い分けられることを意味しており、教養の証とも言えるのです。
TuとVousの具体例を先に確認されたい方は、こちらからご覧いただけます。
TuとVousの使い分けは〇〇の度合いで決まる
フランス語の二人称「Tu」と「Vous」の使い分けは、『相手との親密度合い』で決まります。
後ほど詳しくご紹介しますが、
家族や友達などの親しい関係では「Tu(君)」が用いられます。
一方で、立場が上の人やフォーマルな場面では、「Vous(あなた)」が使われます。
TuやVousで話すことをフランス語で何という?
日本語には「敬語」「謙譲語」「丁寧語」といった敬意を表す言葉に名前があるように、
フランス語では、
- Tuを用いた話し方をtutoiement(チュトワモン)
- Vousを用いた話し方をvouvoiement(ヴヴォワモン)
と言います。
また、これらの単語の動詞もあり、
- 「Tuを用いて話す」ことをTutoyer(チュトワイエ)
- 「Vousを用いて話す」ことをVousvoyer(ヴヴォワイエ)
と言います。
tutoiementはタメ語と思っていいの?
「君」を表す「tu」を日本語の感覚でとらえると「タメ語」のように思うかもしれません。
しかし、フランス語の「tu」には、相手への敬意や親密さも含まれるため、日本語の「タメ語」とは異なります。
Vousはご存じの通り日本語における敬語のような丁寧な表現ですが、
Tuもまた、相手との親しい関係性のうえで使われるため、Vousとは異なる丁寧さを表しています。
大橋保夫の『フランス語とはどういう言語か』(駿河台出版社)によりますと、
・Vousの丁寧さは、相手に脅威を与えない消極的丁寧。
・Tuの丁寧さは、相手との距離を縮めて親近感を出す積極的丁寧(ただし話し手の方が聞き手よりも目上であるとか、話し手が聞き手にとって近付きたい相手であるというような条件が必要)
と表現されています。
つまり使う相手や場面によって「tu」にも敬意が含まれており、
日本語のタメ語(相手に何の気遣いもしない話し方)とは違ったニュアンスがであることが分かります。
詳しい使い方を、次の章で見ていきましょう。
こんな時に使われる!TuとVousが使われる状況一覧まとめ
「tu」と「vous」の違いは見えてきましたが、どのような場面で使い分けるべきか、まだ不明な点も多いです。
そこで実際に「tu」と「vous」を使い分けたシーンを見ていきたいと思います。
「tu」が使われる状況
- 友人との会話
- 若者(20歳未満)の会話
- 家族との会話
- 所属するクラブ・グループのメンバーとの会話
「vous」が使われる状況
- 目上の人・高齢者
- 先生(小学校~大学まで)
- 見知らぬ人(道で場所を尋ねる時など)
- 公的な場所(お店や行政機関、ラジオ、テレビ番組)
カジュアル・フォーマルな場面で使い分けがされていることが分かります。
詳しい具体例も見ていきましょう。
tuとvousどっちを使う?9つの状況別に具体例をご紹介
ここからは、9つの場面に分けてフランス語の「tu」と「vous」の使い分けを見ていきます。
ご紹介する9つの状況
- 初対面の相手がTuを使ってきたとき
- 教師と生徒の間で話すとき
- 子供や若者と話すとき
- 語学学校の友達と話すとき
- 友達の親の家族と話すとき
- 友達の友達や、同僚の配偶者などと話すとき
- ブティックの店員や警察官など、公の場で話すとき
- 義理の家族と話すとき
- 上司・部下・同僚とのビジネスシーンで話すとき
状況別に知ることで、幅広いシーンに応用できるようになります。
それでは順に見ていきましょう。
状況1.初対面の相手がTuを使ってきたとき
基本的に、初対面で相手が「tu」を使ってきたら、こちらも「tu」を使うことは問題ありません。
これは、相手の年齢や立場が自分よりも下であったり、近い場合に適応されます。
一方で、目上の人や上司、先生、結婚相手の両親など、年齢も立場も上の人から初対面で「tu」を使われた場合は別です。
相手が「tu」で話しかけても、こちらは敬意と礼儀正しさを示すために「vous」を使うのが妥当です。
そして目上の相手から「tuで話そう」と提案されたら、あなたも「tu」で話しても問題ありません。
ポイントまとめ
- 年齢・立場が近い初対面の相手が「tu」を使ってきた⇒「tu」を使える
- 年齢・立場が上の初対面の相手が「tu」を使ってきた⇒提案があるまで「vous」を使う
状況2.教師と生徒の間で話すとき
フランスでは昔、教師と生徒の間で「vous」が使われていました。
近年に入り、教師と生徒の仲間意識を確立するため「tu」を使う傾向があらわれました。
そのため、どちらを使うべきか迷ったら、最初は「vous」を使うのが間違いないです。
そして教師から「tuで話そう」と提案してきたら、そのタイミングで「tu」を使うのがベストです。
状況3.子供や若者と話すとき
フランスには、上司・部下の関係はあっても、先輩・後輩という概念はありません。
そのため、若者(20歳未満)の間では「tu」が使われます。
なぜなら2年生も4年生も、同じ学生というグループの一員だからです。
状況4.語学学校の友達と話すとき
若者の関係と同じように、語学学校の生徒同士では「tu」が使われます。
こちらも同様に「語学学校の学生」という同じグループの仲間の一員だからです。
しかし相手との年齢差が大きい場合は、状況に応じて「vous」を使い分けても良いでしょう。
状況5.友達の親と話すとき
「vous」を使うのは、相手への敬意のしるしです。
日本の感覚と同じように、たとえ友達の親であっても、基本的に「vous」を使うのが無難です。
実際にフランス人も、立場や年齢差を考えて友達の両親には「vous」で話すべき、と感じている人は多いです。
ただ、友達の親があなたに対して「tu」を使っているなら、あなたも「tu」を使って大丈夫です。
状況6.友達の友達や、同僚の配偶者などと話すとき
友達が友達を連れてきたり、一緒に働いている同僚が家族を連れて来たときは、どちらで話すべきでしょうか?
友達や同僚がパートナーに「tu」を使っていても、あなたは初対面の相手であるため「vous」を使うのが無難です。
そして会話の流れで、自然とお互いに「tu」に変わることが多いため、その時を待ちましょう。
ただ、若者同士(20歳未満)であれば、初めから「tu」を使うケースが多いです。
状況7.ブティックの店員や警察官など、公の場で話すとき
フランスでは、「客」と「店員」の関係はVousを使うのがマナーとされています。
ブティックの店員、警察官、かかりつけの医師、行きつけのパン屋さんに対して、礼儀正しさを示す「vous」を使います。
しかし、昔は客と店員の仲でも今は親しい・とても仲が良い、という関係であれば「tu」が使われることもあります。
状況8.義理の家族と話すとき
冒頭では、家族と話すときは「tu」を使う、とご紹介しました。
しかし義理の家族の場合、相手への敬意と礼儀正しさを示すために、
- 義理父はTuを使うが自分はVousを使う
- 義理母はTuを使うが自分はVousを使う
というケースがあります。
しかし家族によっては「tu」を使うこともあるため、家族によりけりです。
最初は「vous」で間違いありませんが、親しくなり相手から「tuで話そう」と提案があれば、tuに変えるのが良いでしょう。
状況9.上司・部下・同僚とのビジネスシーンで話すとき
これまでの状況とは異なり、ビジネスでの敬語は使い分けが難しいです。
一般的に、親しさの度合いにより「tu」と「vous」が使い分けられます。
ビジネスの相手との使い分け
- ランチを一緒に食べたりする仲の良い同僚⇒tu
- 年齢も経験も近い仲の良い同僚⇒tu
- 初対面の相手⇒vous
- あまり親しくない同僚⇒vous
- 上司や年上の仕事仲間⇒vous
女性部下が男性上司に対して、親しげに話して周囲から怪しまれるのを避けるため「vous」を使うこともあります。
また、普段は「tu」で話している相手でも、ラジオやテレビなどの公共の場では「vous」を使い分けている姿も見られます。
使い分けの境界線は難しい判断ですが、相手の立場や年齢差などから見分けることが重要です。
たとえ上司や目上の人が部下に対して「tu」を使ったとしても、部下は基本的に「vous」を用いるのがルールです。
立場が上の人から「tuで話そう」と提案があるまでは、上司には「vous」で話すのが無難です。
vousとtuの使い分けに迷った時の対処法3つ
これまでは状況別に使い分け方をご紹介しました。
しかしそれでも、どちらを使うべきか迷うことがあるかと思います。
そこでここでは、使い分けに迷った時の対処法を3つご紹介します。
対処法1.立場の上の人には「vous」を使えば間違いない
立場の上の人や年齢差のある相手に対して、自分から「tu」で話すことはできません。
そして自分から「tuで話そう」と提案することも、失礼に当たるためおすすめできません。
もしも、立場の上の人があなたに対して「tu」を使ってきたとしても、
敬意と礼儀正しさを示すため、相手から「tuで話そう」と提案があるまでは「vous」を用いるのがベストです。
対処法2.立場の上の人から「tuで話そう」と提案されたら「tu」を使う
もしも立場の上の相手から「tu」で話すことを提案されたら、あなたも「tu」を使うのがベストです。
「tu」を提案されたにもかかわらず「vous」を使い続けていると、
- 年寄り扱いされている
- 距離を感じる
と思われてしまい「vous」で話すことが逆効果になってしまいます。
対処法3.同年代や年下は相手に合わせる
同年代や年下の相手には、相手の使い方に合わせるのが無難です。
また、同年代や年下の人に対しては、自分から「tu」で話すことを提案しても大丈夫です。
フランス語で「tuで話しませんか?」の言い方
On peut se dire tu?
オン プ ス ディーチュ
on peut se tutoyer?
オン プ ス チュトワイエ
このように伝えることで「tu」を使う関係へと変わります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
「On peut se tutoyer?」初対面で距離を縮めるカジュアルなフランス語フレーズ国が変われば敬語のイメージも変わる
フランスの「tu」と「vous」は礼儀作法とされています。
しかし、フランス語を話す他の国では、とらえ方が変わってきます。
たとえば、アメリカに近いケベックでは、英語圏の「you」を主語とする上下関係が希薄な影響があり、幅広い場面で「tu」が使われています。
アフリカのフランス語圏では、友情の証として「tu」が使われ、一方で「vous」は外国人に対して使われます。
このように、文化や習慣、歴史などの様々な影響を受けて「tu」と「vous」の使い分けは変化しています。
まとめ
この記事では、「tu」と「vous」の違いについてご紹介しました。
これらは相手との親密度合によって使い分けられ「vous」はもちろんのこと「tu」も同様に丁寧な言葉として使われます。
状況や場面、相手との立場により、たとえ相手が「tu」で話していてもこちらは「vous」で話すのがベストな判断の難しいケースもあります。
詳しくは本記事でまとめましたので、ぜひ参考にしていただけたら嬉しいです。
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