フランス語のリエゾンとは?する場合・しない場合のルールやアンシェヌマンとの違いも

フランス語のリエゾンとは?する場合・しない場合のルールやアンシェヌマンとの違いも

  • フランス語のリエゾンとは?
  • リエゾンとアンシェヌマンの違いとは?
  • する場合・しない場合のルールが気になる

フランス語の発音には、音をつなげる「リエゾン」や「アンシェヌマン」の規則があります。

中でも「リエゾン」のルールや法則が細かく決められているため、いつリ行うべきか迷うかと思います。

そこでこの記事では、役割や法則、する場合・しない場合のルールを分かりやすく解説します。

練習問題も載せていますので、学習にぜひご活用ください。

フランス語のリエゾンとは?

フランス語のリエゾン(liaison)とは、単語と単語の間の音が、繋がりのある音に変化することを指します。

どの組み合わせでも良いわけではなく「発音されない語末の子音」+「母音(または無音の「h」)で始まる単語」の組み合わせでリエゾンします。

たとえば、「les+amis」を単独で発音すると「レ+アミ」ですが、リエゾンすると「レ ミ」となります。

ふらぞぅ
ふらぞぅ

詳しいルールは、記事後半でご紹介します。

リエゾンの役割は、フランス語のリズムを良くし、関連のある単語をグループ化させることです。

朗読や演劇、演説などのフォーマルな場面で用いられ、一方で友達や家族などのカジュアルな場面では使用頻度が低くなります。

リエゾンとアンシェヌマンの違いとは?

フランス語には「リエゾン」のほかに、「アンシェヌマン(enchaînement)」と呼ばれる音をつなぐ規則もあります。

リエゾンとアンシェヌマンの違い一覧

リエゾンアンシェヌマン
組み合わせ「発音されない語末の子音」+
「母音(または無音の「h」)で始まる単語」
「末尾の子音」+「語頭の母音」
タイミング関連のある単語のグループ内で行われる一息で発音する語群の間ならどこでも行える
発音つながる音は変化するつながる音はリエゾンのように変化しない
ルールルールが多いリエゾンよりもルールは緩やか
場面朗読や演説などのかしこまった場面で用いられる場面を問わず用いられる

アンシェヌマンは「末尾の子音」+「語頭の母音」をつなげて発音します。

気を付けたいのは、リエゾンと異なり、もともと語末の子音は抜け落ちておらず、発音されているということです。

また、リエゾンはグループ内で行われたのに対し、アンシェヌマンは一息で発音する語群の間ならどこでも行うことができます。

リズムを良くすることが目的なので、リエゾンよりもルールは緩やかです。

実際に見てみよう!リエゾンの基本の形

リエゾンの基本の形

リエゾンの基本の形は、こちらです。

発音されない語末の子音

母音(または無音の「h」)で始まる単語

「発音されない語末の子音」と「母音(または無音の「h」)で始まる単語」が連続した時に、リエゾンの形になります。

フランス語には、スペルで書かれていても「発音されない語末の子音」があります。

発音されない語末の子音

語末の文字リエゾンした時の音単語の例
「n」で終わる鼻母音や母音字[n]mon, son, aucun, ton…
「d」「t」[t]tout grand…
「s」「x」「z」[z]leurs, des, les, nos, ces, deux, dix, aux…

「n」で終わる単語は、鼻にかかるこもったような音の「鼻母音」です。

日本語の「れんあい」や「でんわ」の発音と同じく「ん」の部分で息を吐き出すように発音され、強調されないのが特徴です。

また「d」「t」、「s」「x」「z」が語末に来ると、スペルでは書かれていても発音されません。

基本の形のイメージを持つために、例文を2つご紹介します。

基本形1.発音されない語末の子音+母音で始まる単語

「発音されない語末の子音の単語」+「母音から始まる単語」の組み合わせでリエゾンする形は、こちらです。

un(アン)+ ami (アミ)

⇒un‿ami (アン ナミ)

「一人の友達」の意味を表す「un ami」は、単体の単語の発音は「アン」と「アミ」ですが、

リエゾンされると「アンミ」と発音が変化します。

基本形2.発音されない語末の子音+無音の「h」で始まる単語

フランス語で語頭の「h」は基本的に発音されません。

たとえば、「男性」を意味する「homme」の発音は「ホム」ではなく「h」を発音しない「オム」となります。

「発音されない語末の子音」と「無音の「h」で始まる単語」の組み合わせで、リエゾンする形はこちらです。

des(デ)+homme(オム)

⇒des‿hommes(デ ゾム)

無音の「h」からはじまる語の前でも、「発音されない語末の子音」との組み合わせでリエゾンが起きます。

ふらぞぅ
ふらぞぅ

リエゾンは、ルールによって適用されるかどうかが決まります。

「する場合」「しない場合」の法則は、次の章で詳しく見ていきましょう。

リエゾンする場合・しない場合のルール 一覧表

リエゾンする場合・しない場合のルール 一覧表

フランス語のリエゾンには決まったルールがあり、いつでも適用されるわけではありません。

リエゾンをする場合・しない場合は、以下のルールで判断されます。

リエゾンする場合のルール

リエゾンする規則例文
①形容詞+名詞grand orchestre
②人称代名詞+動詞nous arrivons
③動詞+人称代名詞Que fait-on?
④副詞+形容詞(例外あり)C’est mieux organisé
⑤肯定文の命令形+「en」または「y」Allez-y
⑥前置詞の後(例外あり)en Italie
⑦quand / dont+代名詞Ce dont il parle m’intéresse.
※リエゾンする部分を太字にしています。

リエゾンしない場合のルール

リエゾンしない規則例文
①名詞 / 代名詞 / 名前+動詞le train # est en retard
②名詞+特徴un mot # assez drôle
③倒置疑問文の on / ils / elles の後Quand a-t-on # essayé?
④ et の後moi et # elle
⑤quand / comment / combien de temps +動詞のグループQuand # est-elle partie?
※リエゾンしない部分を#にしています。

表だけでは分かりづらいため、これらの詳しい解説を以下の2つに分けて実際に見ていきたいと思います。

ご紹介する内容

気になるタイトルをクリックすると、先に読み進めることができます。

それでは見ていきましょう。

フランス語でリエゾンする場合のルール7つ【練習問題あり】

フランス語でリエゾンする場合のルール7つ【練習問題あり】

フランス語でリエゾンするのは、以下のいずれかに当てはまる場合です。

リエゾンする場合の7つのルール

  • 形容詞+名詞
  • 人称代名詞+動詞
  • 動詞+人称代名詞
  • 副詞+形容詞(例外あり)
  • 肯定文の命令形+「en」または「y」
  • 前置詞の後(例外あり)
  • quand / dont+代名詞

各章の解説では、具体例のほかに練習問題も用意しました。

ぜひ理解を深めるために、ぜひご活用ください。

それでは順に見ていきましょう。

ルール1.形容詞+名詞

「形容詞」+「名詞」でリエゾンします。

例として「un grand orchestre(一つの大きなオーケストラ)」を見ていきましょう。

grand+orchestre(グラン+オ-ケストル)

⇒grand [t] orchestre(グラン ト-ケストル)

形容詞の「grand(大きな)」と名詞の「orchestre(オーケストラ)」。

リエゾンが行われるため、発音は「グラン ーケルトル」ではなく「グラン ーケストル」になります。

練習問題1

  • un bon avocat
  • des bons avocats
  • en plein effort

>>練習問題1の答えはこちら

ルール2.人称代名詞+動詞

フランス語で「人称代名詞」+「動詞」の場合、リエゾンします。

人称代名詞とは「je(私)」「te(君)」「vous(あなた)」など、人称によって使う語が変化し、人の名前の代わりになる代名詞のことです。

具体例はこちらです。

nous+arrivons(ヌ+アリヴォン)

⇒nous [z] arrivons(ヌ ザリヴォン)

人称代名詞の「nous(私達)」と動詞の「arrivons(到着する)」がリエゾンし、[z]の発音に変化しています。

練習問題2

  • nous entrons
  • Si vous écoutez
  • On a vu

>>練習問題2の答えはこちら

ルール3.動詞+人称代名詞

先程の逆の文法で、「動詞」+「人称代名詞」の場合にもリエゾンします。

「動詞」+「人称代名詞」の文法は、疑問形で使われる形です。

Que+fait+on?(ク+フェ+オン)

⇒Que fait [t] on?(ク フェトン)

動詞の「fait(~をする)」と人称代名詞の「on(私達)」の単語の繋がりにリエゾンが起きます。

具体例と練習問題も見ておきましょう。

練習問題3

  • Où dorment-ils?
  • Quand part-il?
  • Que font-elles?

>>練習問題3の答えはこちら

ルール4.副詞+形容詞 (例外あり)

「副詞」+「形容詞」の組み合わせでリエゾンします。

数ある副詞のなかでも、以下の副詞の後は必ずリエゾンしますので、覚えておきましょう。

必ずリエゾンする副詞

  • très
  • moins
  • mieux
  • plus
  • bien
  • trop
ふらぞぅ
ふらぞぅ

他の副詞は、リエゾンしない場合があります。

すべての副詞の後がリエゾンするわけではないので、ご注意ください。

具体例は、練習問題でご確認ください。

練習問題4

  • C’est mieux organisé
  • C’est moins original
  • C’est trop humide

練習問題③は、例外的な発音になるのでお気をつけください。

>>練習問題4の答えはこちら

ルール5.肯定文の命令形+enまたは y

肯定文の命令形に中性代名詞の「en」または「y」を含む場合、リエゾンします。

Allez+y(アレ+イ)

⇒Allez [z] y(アレ ジ)

語末の「z」と代名詞の「y」がリエゾンし[z]の発音に変わったのが分かります。

また以下の通り、中性代名詞の「en」や「y」を含む場合も、リエゾンの対象です。

  • 動詞+代名詞+中世代名詞(Allons-nous en)
  • 代名詞+中世代名詞+動詞(ils y vont)

練習問題も見ておきましょう。

練習問題5

  • Allez-vous en!
  • Manges-en
  • Vas-y

>>練習問題5の答えはこちら

ルール6.前置詞の後(例外あり)

こちらの前置詞の後は、必ずリエゾンします。

必ずリエゾンする前置詞

  • en
  • dans
  • chez
  • sans
  • sous
ふらぞぅ
ふらぞぅ

他の前置詞の後は、リエゾンしない場合もあるので、ご注意ください。

練習問題6

  • en Italie
  • dans un moment
  • chez eux

>>練習問題6の答えはこちら

ルール7.接続詞「quand」または 関係代名詞「dont」の後

接続詞の「quand」または関係代名詞「dont」の後は、リエゾンします。

接続詞や関係代名詞なので、「quand」や「dont」の後には主語の代名詞が置かれるケースが多いです。

Ce dont [t] il parle m’intéresse.

「dont」の後の代名詞「il」は、リエゾンするため「イル」ではなく「ィル」になります。

ただし「quand」+動詞のグループが繋がる場合は、リエゾンしません(※記事後半の「リエゾンしない場合⑤」で解説)

練習問題で他の例文も見ていきましょう。

練習問題7

  • Qand elle est là, on l’entend
  • Une chose dont on se souvient

>>練習問題7の答えはこちら

フランス語でリエゾンしない場合のルール5つ

フランス語でリエゾンしない場合のルール5つ

「リエゾンしない場合」の基準は、こちらの考え方に基づいています。

  • 一体感がない場合はリエゾンしない
  • 意味を考えるうえで支障をきたす場合はリエゾンしない

単語を繋げて発音をする際に、一体感のない単語の組み合わせはリエゾンされません。

また、リエゾンをすることで意味が分かりづらくなる場合も、適用されません。

詳しくは、こちらの5つのルールを見ていきましょう。

リエゾンしない場合のルール5つ

  • 名詞 / 代名詞 / 名前+動詞
  • 名詞+特徴
  • 倒置疑問文の on / ils/ elles の後
  • 「et」の後
  • quand / comment / combien de temps +動詞のグループ

順にご紹介していきます。

ルール1.名詞 / 代名詞 / 名前+動詞

名詞・代名詞・名前と動詞の間は、リエゾンしません。

例文

  • le train # est en retard(名詞+動詞)
  • Jean # est la(代名詞+動詞)
  • Simon # a cinq ans(名前+動詞)

リエゾンはしませんが、区切るような発音をするのはNGです。

アンシェヌマンを行い、単語に繋がりのある発音をするのがベストです。

ルール2.名詞+特徴

『リエゾンする場合のルール①』で「形容詞」+「名詞」がリエゾンすることを解説しました。

ただし「名詞」の後に「特徴」を述べる場合は、リエゾンされませんので、ご注意ください。

例文

  • un mot # assez drôle
  • un restaurant # accueillant
  • une maison # en ruines

ルール3.倒置疑問文の on / elles / ils の後

日本語で「人は/私達は」英語で「people/we」をあらわす、フランス語の「on」。

「on」が倒置疑問文(主語と動詞を入れ替かえた疑問文)の場合、後に続く単語はリエゾンしません。

例文

  • Quand a-t-on # essayé?
  • Pourquoi a-t-on # enlevé les meubles?

また、倒置疑問文で「ils」や「elles」が主語として使われた場合も、リエゾンしません。

  • Qui ont-ils # invité?
  • Qui ont-elles # invité?

ただし、「nous」や「vous」の場合は、リエゾンするかどうかを任意で決めることができます。

リエゾンしても、しなくても良い例

  • Qui avez-vous invité?
  • Qui avez-vous # invité?

ルール4.「et」の後

日本語で「~と/そして」「また」などの接続の意味を持つ「et」。

「et」の後に続く単語は、リエゾンしません。

例文

  • moi et # elle
  • un rouge et # un noir

リエゾンをすると意味が分かりづらくなるため、必ず単独で発音します。

ルール5.quand / comment / combien de temps +動詞のグループ

以下3つの副詞の後に続く、動詞のグループはリエゾンしません。

リエゾンしない3つの副詞

  • quand(英語:when)
  • comment(英語;how)
  • combien または combien de temps(英語:how/how much)※数量に用いられる

後に続く動詞のグループがリエゾンしない例は、こちらです。

例文

  • Quand # est-elle partie?
  • Comment # aller à Paris?
  • Combien de temps # est-il absent?

ただし、例外もあります。こちらはリエゾンしますので、ご注意ください。

リエゾンする不規則な例

  • Quand est-ce qu’elle est partie?
  • Comment allez-vous?

一文目は「コン スク…」と[t]の発音に、二文目は「コマン レ ヴ」と[t]の発音にリエゾンします。

よく使われる疑問文ですので、リエゾンする・しない場合のルールを覚えておきましょう。

まとめ

この記事では、フランス語のリエゾンについて深堀りして解説をしました。

リエゾンとアンシェヌマンの違いや、リエゾンする場合・しない場合のルールを詳しくまとめています。

リエゾンはアンシェヌマンと比べて、ルールや規則が多いため、覚えることが多いです。

しかし、する場合・しない場合のルールが分かれば、使い方が分かるようになりますので、ぜひ覚えてみてください。

少しでも多くの方に有益な情報をお届けできるよう、練習問題も作成しました。

この記事を通して、リエゾンの仕組みを理解していただけたら嬉しいです。

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